Netflix版『シティハンター』を見た

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City Hunter

Netflix版『シティハンター』を見ました。

原作ガチ勢の本気度を見た

本作は『シティハンター』で冴羽獠と組んでいた槇村秀幸が殺され、その妹槙村香と冴羽獠が 出会いコンビを組むところが描かれています。 原作では第6〜8話当たりを下敷きにしているようですが、脚本はかなりアレンジされています。 ただし、原作のイメージを損なわず、かつ現代でも違和感がないよう、かなり慎重に脚本が 練られている印象です。

冴羽獠を演じている鈴木亮平はかなり『シティハンター』ファンで、原作ガチ勢という話です。 実際彼が演じる冴羽獠は原作、アニメをリアルタイムで見てきた私のような世代が見ても 実写という枠でかなり現実的に冴羽獠を再現していると思えます。再現度でいう期待以上で120%です。 体作りや銃の扱いなどかなり鍛練したことが伺えます。

原作の特長的な「モッコリ」は時代的に表現が厳しいですが、かなり自然に表現されています。 原作では「モッコリ」膨らまして女性の飛びかかる冴羽獠を香が「100tハンマー」でぶん殴る ということでバランスさせていますが、現代では「モッコリ」自体の表現も困難です。 本作では「モッコリ」に替えて、女性に迫られてニヤケながら冴羽獠が苦悶の表情を浮かべることで うまく表現しています。

「100tハンマー」もオマージュは出てきますが、実写では現実感がなくなるのオマージュに とどめたのはよい判断だったと思います。

もっとも原作の1巻ではハードボイル路線からギャグの比率を増やし始めた時期なので、 原作と比較してもあまり違和感がないと思います。

全体的に原作に馴染んだ私が見ても、期待以上にシティハンターの世界が描かれていました。

「シティハンター」である必然性はあまりない

冴羽獠演ずる鈴木亮平、野上冴子演ずる木村文乃らはかなり原作のイメージに近いのですが、 問題は槙村香です。

原作での槙村香はボーイッシュでアクティブ。 暴漢相手にマグナムをぶっ放す破天荒さもあり、冴羽獠相手にも対等な存在感を見せています。 一方で身長も高くスタイリッシュでスマートです。

ところが槙村香演じる森田望智さんは身長が163cmなので、 鈴木亮平と並んだときに167cm設定の槙村香にはどうしても見えない。 それにこれは脚本が悪いのですが、おどおどした設定や足軽感が漂う戦闘シーンなど かなり萎えます。

シティハンターの呼び出しが「伝言板」である滑稽さに現れているよう、 設定を現代に持ってきたため原作に忠実でありたい部分と時代考証とのせめぎ合いで おかしなことになっている部分が気になりました。

本来であれば、時代設定を1980年代にすれば一番しっくりくるのでしょうが、 ロケなどを考えるといくらNetflixでも1980年代の街並の再現など無理だったのでしょう。

時代を現代に持ってきても前半の新宿の街並の表現は素晴らしいです。 当時の新宿の雰囲気を現代の街で(もしかするとセットかもしれませんが)うまく再現しています。 が、後半の戦闘シーンは流石に厳しかったのか新宿のどこかにある設定の地下通路に舞台を移します。 ここだけ見ていると、バイオハザードかマトリックスと言われても違和感がなくシティハンターである 必然性は皆無です。

と考えると、原作ガチ勢はオマージュや鈴木亮平の再現度で結構楽しめますが、 この作品で初めてシティハンターに接する人には「ただのアクション映画」としか うつらないのではないかと思います。

続編は止めたほうがいい。

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